2023年3月6日作成

注意欠如・多動症(注意欠如・多動性障害)

 おしゃべりが多く、落ち着きがなく動き回ったり、後ろから声をかけても聞いていないように見える、授業中にぼーっとしていることが多い、宿題をしていてもすぐに遊び始める、並んでいる列に割り込んでしまう、

忘れ物やなくしものが多い、テストでケアレスミスが多い、片付けがすごーく苦手、こんなことありませんか。

 このようなことがなかなかコントロールできず、しばしば同じことを繰り返してしまい、怒られてしまう。それは注意欠如・多動症(以下、ADHD:Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)かもしれません。

 

 上記のような特徴について、本人も困っているのですが周りが「何度言えばわかるんだ」、「どうしてできないんだ」と追い詰めてしまうことがよくあります。

 しかし、「言えばできるのが当たり前」という思い込みが本人を苦しめてふさぎ込んだり、ケンカをしたりすることが多くなり、子どもとおとなとの関係が悪くなってしまうことがあります。

 

ADHDの特徴

①不注意

・ケアレスミスが多い

・長い時間、物事に集中できない

・声をかけても聞いていないように見える

・何かしていても他のことに違うことに気が向く

・予定を立てたり、時間を管理したりが苦手

・物を失くしやすい

 

②多動性および衝動性

・手足がソワソワする

・席を離れることが多い

・不適切な状況で走り回ったり、高所に登ったりする

・静かに、ゆっくり過ごすことが苦手

・しゃべりすぎてしまう

・順番を待つのが苦手

・他の人にちょっかいを出してしまう

 

上記の特徴はわざとやっているのではないのです。

しかし、本人に対して有効なアドバイスが与えられず、おとな側が「同じことを何度も言う」という手段に

こだわってしまい、その結果、対立が深まってしまうのです。

 

ADHDの治療

4-6歳の子ども

・行動マネジメントを用いた親トレーニング

・教室での行動介入

(※行動介入が困難な場合、薬物療法が勧められる)

・本人への配慮

 

6-18歳の子ども

・薬物療法

行動マネジメントを用いた親トレーニング

・教室での行動介入

(※薬物療法と行動介入の併用が最も効果的)

・本人への配慮

 

すなわち、おとなの子どもへの関わり方スキルの向上と困っている状況を軽減する配慮が重要なのです。

配慮があって初めて子どもたちは生活しやすくなります。

そして、おとなのトレーニングをする理由は「ダメなおとな」というレッテルを張るのではなく「子どもの育ちの専門家」になって欲しいということなのです。

子どもの育ちのスキルは、おとなから子どもへ受け継がれ、良い循環を作り上げていくはずです。

 

もし、ADHDのような行動でお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。

SKILLSカウンセリングセンターは行動介入を提供します。

 

SKILLSカウンセリングセンター

飯島博之(臨床心理士・公認心理師)

 

参考文献

・Wolraich ML, et al 2019 Clinical Practice Guideline for the Diagnosis, Evaluation, and Treatment of  Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder in Children and Adolescents. Pediatrics,144(4).

 

・高橋三郎・大野裕監訳 2014 DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 医学書院