2023年2月25日作成
自閉スペクトラム症（自閉症スペクトラム障害）
車や電車をきっちりと並べる、自分の好きなものをたくさん集める、
こだわりが強くて考えを曲げにくい。
また、サイレンの音などにとても驚いたり、
服のチクチクした感じや粘土の感覚を嫌がる、
柔軟剤や芳香剤のにおいが苦手、
食べ物の好き嫌いが激しい。
また人とのコミュニケーションをとる際、
やたらと距離が近い、または遠い、
同い年の子よりも年上や年上の子、または
おとなの方と話をすることを好む。
「みんなと一緒に」が苦手で、一人で遊ぶことを好むなど
子育てに手がかかる。
それはもしかしたら、発達障害の一つである自閉スペクトラム症
（以下、ASD：Autism Spectrum Disorder）かもしれません。
ASDの特徴
①コミュニケーションの苦手さ
②こだわりの強さ
③感覚の過敏さ、鈍感さ
が挙げられます。
具体的には次のような例があります。
①コミュニケーションの苦手さ
・一人遊びが多く、他の子と遊ぶことがほとんどない
・自分の興味のあることはとてもよく話すが、興味のないことはあまり関心を持たない
・目を見て話さない
・～ごっこなどの遊びをしない
・友だちが作れない
②こだわりの強さ
・小さな車や電車をきっちりと並べる遊びをする
・テレビの同じ場面を何度も見る
・食べ物の好き嫌いが激しい
・好きなことにはまるとすごく集中する
・予定が変わると怒ったり、混乱する
③感覚の過敏さ、鈍感さ
・服のチクチクした感じを嫌がる
・柔軟剤や給食のにおいが不快
・サイレンや風の音などがつらい
・スーパーの光が痛いくらいまぶしい
・食べ物の好き嫌いが激しい
上記のようなことがあり、本人は困っているのですが、周りの人からは「甘えだ」、「わがままだ」と言われてしまい、理解されない状況があります。
本人のスキルも必要ではありますが、まず何よりも周囲が理解し、配慮すると本人が楽になります。
ASDへの対応
ここでは効果的な対応方法について簡単に記します。
①構造化
構造化には「物理的構造化」、「時間の構造化」、「活動の構造化」、「視覚的構造化」があります。
寝る場所は寝室、ご飯食べるところはテーブルなどやることと場所をマッチングする。
何時から何時に～をやるよというのを表などを使ってわかりやすくして、先の見通しをしやすくする。
何をどのくらい、どうやってやればいいかわかりやすく提示する。
こういったものを本人が見てわかるようにします。
②応用行動分析
おとなは「宿題しないとゲームをさせない」など罰を与えがちですが、実はこれは間違ったやり方なんです。
罰を与えると子どもとおとなの関係は悪くなり、「～しなさい」を守らなくなります。
ではどうするのでしょうか。
①の構造化と組み合わせて
出来たらほめる（またはごほうび）を与えることが大切になります。
例えば「●回～できたらごほうびに今度の土曜日は1時間ゲームできるよ」などはよいかもしれません。
※ただし、ごほうびは高価なものやお金などはあまり適切ではないです。
子どもが喜ぶもの（その子によって違う）が適切です。
③PEERS
ASDのお子さんの中にはどのように友だちを作ればよいかわからない子がいます。
そのような場合、カリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）で開発されたPEERS（Program for Education and Enrichment of Relational Skills）がおすすめです。
これは16回のプログラムからなり、友だちを作り、その関係を維持する方法が具体的に学べます。
ちなみに当センターの飯島もPEERSの認定講師となっております。
ASDの特徴や対応を書きましたが、2023年3月4日㈯10:30から「支援・指導の難しい子を支える魔法の言葉」
の著者である小栗正幸先生をお迎えし、オンライン公開講座『家庭と学校における支援・指導のむずかしい子を支える』をSKILLSカウンセリングセンターで行います。
「話が通じにくい」、「聞く耳を持たない」子どもの心に響く対話スキルを学び、他者への暴言・暴力、不登校、いじめ、家庭内トラブルなどの困った場面への対応力をあげていきましょう。
ぜひ以下のリンクからお申し込みください。
https://skills0304.peatix.com/view
たくさんの方のご参加をお待ちしております。
SKILLSカウンセリングセンター
飯島博之（臨床心理士・公認心理師）
参考文献
・梅永 雄二 2016 よくわかる！自閉症スペクトラムのための環境づくり 事例から学ぶ「構造化」ガイドブ
ック 学研プラス
・山田智子他（監訳） 2020 友だち作りのSST―自閉スペクトラム症と社会性に課題のある思春期のための
PEERSトレーナーマニュアル 金剛出版
・高橋三郎・大野裕監訳 2014 DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 医学書院