2023年7月3日 作成

算数障害

 

算数のこんな困ったはありませんか。

大きくなっても指を使って計算する、計算にとても時間がかかる、数を数え間違える、二ケタ以上の大きな数のひっ算が苦手、文章題が解けないなど算数が人よりも苦手なお子さんがいます。

この場合、もしかしたら算数障害があるかもしれません。

 

熊谷(2018)によると、算数障害には4つの領域があり、①数処理、②数概念、③計算、④文章題(数的推論)に分類されます。

①数処理とは、「1」(数字)、「いち」(数詞)、「●」(具体物)の対応関係の理解です。数処理が形成されることで、数概念や計算等を獲得していきます。

②数概念とは数の性質を理解することです。数には序数性(順番)と基数性(量)の性質があります。例でいうと、「前から二番目の人」(順番)と「二人の人」(量)では違いますよね。

③計算は「暗算」と「ひっ算」に分け考えます。「暗算」は和(合計)が20までの計算、かけ算わり算で99までの範囲の計算が含まれます。「ひっ算」はそれ以上の数の計算になります。暗算を獲得するためには5,10の合成分解が重要です。また、「ひっ算」はくり上がり、くり下がりの手続きや多数行の空間配置とその意味が理解される必要があります。

④文章題(数的推論)では、言葉からイメージに変換することと、式を立てることが重要になってきます。ただし、この場合に文章を読めているという前提があります。

 

 

①~④まで様々な介入方法がありますが、ここでは文章題の解き方を一つ上げます。

例)公園に子どもが5人いました。3人が帰ってしまいました。子どもは何人いるでしょう。

良くある指導方法は具体物を描き、問題を解きます。

👦👦👦👦👦 5人いました

👦👦 (👦👦👦) 3人が帰ってしまいました

👦👦 子どもは2人います 

具体物の描写に関しては丁寧さを求めず、デフォルメされたもので構いません。

大切なのは、具体物を使って式を解くことができることです。

 

また、要所ではありますが遊びながら学べるゲームをたくさん載せているのが、Ronit Bird(2021)の『The Dyscalculia Toolkit: Supporting Learning Difficulties in Maths』になります。

私はこの本でキズネール棒の存在を知りました。

また、RonitはYouTube動画でも指導を掲載しておりますので、興味がありましたらぜひご覧ください。

 

当センターではカウンセリングに加えて、子どもの発達支援を各種行っておりますので、ぜひご利用ください。

 

NPO法人SKILLSカウンセリングセンター

飯島博之(臨床心理士・公認心理師)

 

参考文献

・熊谷恵子・山本ゆう 2018 通常学級で役立つ 算数障害の理解と指導法 みんなをつまずかせない! すぐに使える! アイディア48 学研教育みらい

 Ronit Bird 2021 The Dyscalculia Toolkit: Supporting Learning Difficulties in Maths SAGE Publications Ltd