2023年6月26日 作成

発達性協調運動症(発達性協調運動障害)

発達性協調運動症(以下DCD:Developmental Coordination Disorder)を知っていますか。

DCDは食事中に食べ物をぼろぼろと落とす、靴ひもがうまく結べない、はさみをうまく使えない、走る・鉄棒・サッカー・バスケといった運動全般が苦手などがあり、日常生活での困難をきたすことがあります。

そのため、スポーツが嫌いになったり、手先の不器用さのために周りよりも準備に時間がかかったりすることがあります。

 

本人も努力して頑張っているのですが、運動能力が変わらず、手指の不器用さで注意されることが多くなってしまい、モチベーションが低下したり自信がなくなってしまったりする子もいます。

DCDの特性として、青森県子どもの発達支援ガイドブックでは次のことを挙げています。

 

乳児期

〇母乳やミルクの飲みが悪い、離乳食を食べるとむせる、寝がえりがうまくできない、はいはいがうまくできない

幼児期

〇はいはい・歩行・お座りができるのが遅い、寄りかからずに座るのが不安定、ボタンやファスナーがうまくできない、平坦な場所でも転ぶ、食べこぼしが多い

学童期

〇体育(球技、体操、走るなど)が苦手、ひもが結べない、箸がうまく使えない、文具や工具の使用が苦手、文字をマスに合わせて書けない

 

DCDへの介入

 

 ・課題志向型アプローチ 

 協調運動の問題によって起こっている課題を行う上でのスキルを高める療育です。課題志向型アプローチの特徴は(1)クライエント中心、(2) 目標志向、(3)課題と文脈特異的、(4)相談者の能動的取り組み、(5)正常よりも機能的、(6)移行に向けたクライエント/養育者の能動的参加になります。 

 

・日常作業遂行に対する認知オリエンテーション(以下CO-OP:the Cognitive Orientation to daily Occupational Performance)

 塩津(2019)によると、CO-OP とは相談者が選んだ活動を成し遂げながら、スキルを 獲得していくアプローチであり、その目的は スキルを獲得するために認知戦略を用いて、獲得したスキルを生活でも使えるようにしたり、他の場面でもできるようにしていくことにある、と書いています。

 

 どのアプローチでも、相談者が主体であり、セラピストと一緒に目標に向かってやっていくという点は共通しています。

 

もし、お子さんの運動や不器用さにお困りでしたら、8月6日㈰の13時から開催されますオンライン講座「発達が気になる子どもの できるを増やす 姿勢づくり・からだ遊び (実践編)」にご参加ください。講座後1か月間の見逃し配信もありますので、当日ご参加が難しい方も大丈夫です。

 

ご興味がありましたら、以下のページからご予約ください。

https://skills0806.peatix.com/view

 

SKILLSカウンセリングセンター

飯島博之(臨床心理士・公認心理師)

 

参考文献

・青森県子どもの発達支援ガイドブック https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenko/syofuku/files/aomorihattatsu_guide.pdf 2023年6月23日閲覧

・高橋三郎・大野裕監訳 2014 DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 医学書院

・一般社団法人日本作業療法士協会 2022 作業療法ガイドライン-発達性協調運動症 https://www.jaot.or.jp/files/page/gakujutsu/guideline/guideline_DCD-1.pdf

・塩津裕康 2019 不器用さが疑われる発達障害児に対するCognitive Orientation to daily Occupational Performance(CO-OP)を用いた実践 作業療法 38 (3)、344-350