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「家庭と学校における支援・指導のむずかしい子を支える」について

2023年3月4日に行われたこの講座は「話が通じにくい」、「聞く耳を持たない」子どもの心に響く対話スキルを学び、他者への暴言・暴力、不登校、いじめ、家庭内トラブルなどの困った場面への対応力を上げることを目的に行われました。

そもそも上記のよう難しい状態に対して、「気持ちを受け止めて」、「話を聞いてあげて」と言われて話を聞くけれども、なかなか良い方向に向かわないことが多々あるわけです。

そこで思春期、青年期の逸脱行動への対応をご専門にしていらっしゃる小栗正幸先生(特別支援教育ネット)をお招きして、お話を伺いました。

どの話も具体的かつ効果的なスキルに満ちていました。

 

①ポジティブな叱り方

例えば、子どもが教科書にいたずら書きをしていると、おとなは「やめなさい!」と怒って止めようとします。

もちろん、その行動は一時的に止まりますが、叱責された子どもは嫌な気持ち(怒り)を引きずってしまいます。

ではどうするのでしょうか?

 

まず子どもの机の上に手をそっと置いてみましょう。

すると、いたずら書きをやめてこちらを見ます。

そうしたら、👍のサインを出すのです。

もちろん子どもはニコッとするでしょう(⌒∇⌒)

 

机に手を置く→こちらを注目する(いたずら書きをやめる)→👍(ほめる)

こうすることで、不適切な行動(いたずら書き)を減らしているのです。

これなら、子どもの反発を引き起こしにくくなりますね。

 

②財布からお金を盗む

これを子どもにされて冷静でいられる保護者さんはいるでしょうか?

盗んだ子が悪いはもちろんなのですが、何度も盗まれてしまうのであればどうにかしなければなりません。

「そこに財布があるから盗むのだ」という事実もあるわけです。

その対策は「自分の財布が子どもに絶対に見つからないよう隠すこと」です。

そうすれば、お金を盗むという行動はなくなります。

いつものバッグに入れる、テーブルの上に置いておくなんてことはダメですよ。

 

③嘘をつく(虚言)

虚言のタイプには(1)おしゃべりタイプ、(2)自作自演タイプ、(3)嘘を認めないタイプがあります。

 

(1)おしゃべりタイプ

事故などの目撃や自分や家族の自慢(父はパイロットなど)などをします。

この場合には、沈黙が苦手だったり、人を楽しませようとすることが影響をしているのです。

その嘘は子どもの興味関心を表していると考えましょう。

 

(2)自作自演タイプ

Aさんが自分のペンケースが隠されたと言うので、みんなで探しますが見つかりません。

最後はAさん自身が「トイレにあった!」と言い、1回だけでなく2回、3回と同じようなことが起こります。

そのような時も本人なりの訴えがあるため、無視してはいけません。

大切なことは本人に「どうしたいの」と問い、「探してほしい」と言えば探し、何もしなくていいと言えば、「困ったら相談してね」と伝えましょう。

 

(3)嘘を認めないタイプ

Bさんのペンケースが無くなり、Cさんのカバンから出てきました。

それをCさんに聞いても「自分はやってない」と認めません。

しかしCさんには盗み癖の噂が多々あります。

この場合の対応はまず事実のみを整理します。

そして大変な事態になったことを伝え、警察への通報も含め学校で検討することを伝えます。

すると不安になったCさんがその後どうしたかを聞きに来ますが、「先生が考えることなので心配いらない」と伝えます。

その結果、耐えられないほど不安が強まりCさんが謝罪しに来る可能性が高まります。

 

※どのタイプにも共通の対処法は「嘘を暴かない」です。

 

 

他にもたくさんの支援・指導スキルを教えていただいたのですが、興味がある方はぜひ当法人のPeatixをフォローしていただき(こちら)、小栗先生の講座を受講ください。

きっと支援スキルを高め、子どもたちの手助けとなることでしょう。

 

以下は小栗先生の書籍になりますのでぜひ手に取って読んでみてください。

 

参考書籍

小栗正幸 2015 ファンタジーマネジメント“生きづらさ”を和らげる対話術 ぎょうせい

小栗正幸 2017 支援・指導のむずかしい子を支える魔法の言葉 講談社

小栗正幸 2021 続・ファンタジーマネジメント 支援者を呪縛する煩悩との対話 ぎょうせい